Mpox research initiative
ゲノム・血清・病理を軸としたエムポックス研究
Tracking mpox virus evolution and immune cross-protection, from Kinshasa to Osaka.
- Period
- 2022 — 継続中
- Clades
- Ia · Ib · IIa · IIb
- Funding
- AMED · 令和4-5年度 追加公募事業
The question
なぜいま、エムポックスなのか。
エムポックスウイルス(MPXV)は、2022年にクレードIIbが、2024年にはクレードIbが相次いで国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を招きました。DNAウイルスとしては異例の速さで新しい変異体が出現し続けている一方、感染歴やワクチンがどこまで交差して守ってくれるのか、その免疫学的な裏付けは今なお十分ではありません。
私たちがコンゴ民主共和国で追跡する後遺症コホートでは、治癒したはずの患者に角膜混濁による社会的失明や、末梢神経障害が長期に残るケースが確認されています。免疫逃避株・高病原性株が出現するリスクも指摘されるいま、ゲノム・血清・病理を横断してウイルスと免疫の攻防を読み解くことが求められています。
Partner institutions
日本 — ベルギー — コンゴ民主共和国
検体・データ・知見を循環させる、3か国の共同研究体制。
大阪公立大学
Osaka Metropolitan University · Graduate School of Medicine
血清疫学プラットフォーム開発 · 統合解析
全抗原ビーズアッセイとプロテインアレイを開発し、国際コホートの検体データを統合解析する。
石金正裕・安達英輔・中村ふくみ・加来奈津子・安木真世
INRB
Institut National de Recherche Biomédicale
症例コホート · 後遺症フォローアップ
キンシャサを拠点に確定例を追跡し、クレードIa検体と1年間の後遺症データを提供する。
Dr. Placide Mbala
アントワープ熱帯医学研究所
Institute of Tropical Medicine, Antwerp
国際コホートでの手法バリデーション
欧州のクレードIIb検体で血清診断アルゴリズムを検証し、地域差の要因を分析する。
Dr. Laurens Liesenborghs
検体とデータは3か国を循環し、血清診断アルゴリズムを継続的に検証・改良する。国際共同研究と論文発表、若手研究者の交流を3軸に運営する。
Approach
ゲノム・血清・病理を、ひとつの検体の上で重ねる。
単一の手法では見えないエムポックスの全体像を、4つのレイヤーから立体的に描く。
Layer 01
ゲノミクス
Genomics
de novoアセンブリで再構築困難なゲノム両端まで含め全長を確定し、株間の挿入・欠損や反復配列を比較して伝播の手がかりを追う。
Layer 02
疫学
Epidemiology
遺伝子型と伝播パターンの関係を追い、治癒後1年間にわたる後遺症コホートで臨床的な全体像を描く。
Wawina-Bokalanga et al., Lancet 2025;406:63–75
Layer 03
血清学
Serology
全抗原ビーズアッセイと網羅的プロテインアレイで、中和活性を反映する抗原パターンと、感染・ワクチン間の交差免疫を解明する。
Viruses 2023;15(4):995 · BMC Infect Dis 2025;25:529
Layer 04
病理学
Pathology
皮膚を模した3D培養にウイルスを感染させ、組織破綻と増殖動態を観察し、将来の創薬・免疫プラットフォームへつなげる。
Viruses 2023;15(8):1748
Sub-topics
研究の入り口
5つのテーマへ展開します。
ゲノミクス
MPXV全ゲノム解析と、株間比較による系統サーベイランス
疫学・自然史
伝播動態の解明と、治癒後1年間にわたる後遺症フォローアップ
血清疫学
全抗原アッセイによる交差免疫の解明と、AMED支援プラットフォーム開発
病理学
皮膚モデルによる3D培養とウイルス複製動態の解析
POCT開発
LAMP法を用いた、現場即応型の迅速診断実装